はじめに
第5回fuzzカップベスト128 A卓 2戦目のオーラスを見ていたら面白い場面があったので、共有のために久しぶりに文章を書いてみます。
秋瀬プロが上手く条件を満たしたのは褒められるべきことですし、ようへいプロが条件に合う打ち方が出来なかったのは悔しいでしょうが、面白かったのはそこではありません。
ここでは実況解説も見落としていたであろうマニアックな事項について考察をしていきたいと思います。
なお、これは思考実験です。
実際にどうだったという話をしているわけではありませんし、選手や選択を批判する意図もないことはご認識ください。
また、後半にグレーな内容も取り上げますが、それを推奨しているわけでもありません。
第5回fuzzカップ
第5回fuzzカップはMリーグルールの2回戦2人勝ち抜けトーナメントとなります。
Mトーナメントと全く同じ形式ですね。
半荘を2回やって合計ポイント上位2名が勝ち上がるやつです。
1戦目終了時のポイント
ざっくりとした2戦目の勝ち上がりの条件は以下となります。
(実際は素点差によって変化しますが、長くなるので割愛します)
- ようへいプロ
- 3着以上
- 秋瀬プロが2着以外のラス
- 安藤プロ
- トップ
- 2着でトップがようへいプロ、秋瀬プロがラスもしくは12000点差の3着
- 宮崎プロ
- トップで秋瀬プロが3着以下もしくは17000点差の2着
- トップでようへいプロが17000点差のラス
2戦目オーラスの条件
2戦目オーラスの点棒状況はこのようなものでした。
この場合の勝ち上がりの条件は以下となります。
- 安藤プロ
- 流局
- 宮崎プロ
- 満貫ツモ
- 安藤プロ以外から12000
- 安藤プロから24000
本題
さて、ここまでがその場面の前提です。
では実際にその場面を見てみましょう。
宮崎プロのリーチが入って一発目の安藤プロの切り番。
白と中のシャンポン聴牌をしていて、危険牌の7sを持ってきたところです。
安藤プロの立場
宮崎プロに満貫ツモをされると敗退、5200以上を放銃しても敗退ですが、和了でも条件が良くなっての次局続行で、流局すれば勝ち上がりです。
それだけを聞くと全く押せないように見えますが、宮崎プロが勝ち上がりの条件を正確に把握していれば宮崎プロが16000を和了しても通過しないためロンされることはありません。
さて、この状況では宮崎プロが勝ち上がりの条件を正確に把握していることを信じてゼンツするのが正しいのでしょうか。
それとも、トップになれば勝ち上がりだと条件を誤認している可能性があるので降りたほうが良いのでしょうか。
考えてみたのですが、明確にこっちだという結論は出ませんでした。
どっちも裏目がある上に確率で判断できることではないので、この場面になってしまうとどちらが良いとは一概には言えないように思われます。
対戦相手がどれくらい信頼できるのかを人物本意で判断するしかないのでしょう。
ですが、この場面になる前にできる事はありました。
安藤プロの立場としては、条件確認時に宮崎プロの勝ち上がりの条件を確認して、ゼンツできるように宮崎プロに自分からの和了は24000が必要なことを伝えておくのが良さそうです。
宮崎プロの立場
宮崎プロが条件を誤認していると安藤プロが押せないということは、裏を返すと宮崎プロは安藤プロに誤認していると思わせた方が得ということになります。
倫理的な面や後の影響を無視するのであれば、条件確認時に自分の勝ち上がりの条件としてはトップになる条件を伝えることで条件を誤認していると勘違いさせるのが勝ち上がり確率を最大化していると考えられます。
当たり前の話ですが、これは三味線のようなものなので得だからやった方が良いということではありません。
とは言え、こういうことをする人がいないとも限らないので、可能性を頭の片隅に入れておくのは悪くはなさそうです。
実際の選択と結果
安藤プロがどのような選択をして結果がどうなったかについては
第5回fuzzカップベスト128 A卓 - YouTube をご視聴ください。
見てがっかりさせる事にはならないと思います。
終わりに
麻雀は確率のゲームだと思っていたのですが、こんな確率に関係ない心理のみの駆け引きが存在し得るんだなってのを共有したくて文章を書いてしまいました。
条件確認は自分の条件の確認だけして終わってしまう人も多いと思いますが、全員の条件を把握しているのといないのとでは打ち方が変わることもありますし、把握した内容を相手に伝えるかどうかにも考慮すべき余地が残されています。
これを読んで条件戦の面白さや奥深さを感じてくれる人が1人でもいたら、それに勝る喜びはありません。